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慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(CKD)は、自覚症状が少ないまま進行し、将来的な人工透析や心血管疾患のリスクを高める病気です。
早期発見と適切な管理が、健康な生活を維持するために非常に重要となります。

慢性腎臓病(CKD)とは

慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)とは、腎臓の障害や腎機能の低下が3か月以上続く状態を指します。具体的には、次のいずれかが3か月以上持続する場合にCKDと診断されます。

  • 尿蛋白など腎障害を示す所見がある
  • 腎機能(糸球体濾過量:GFR)が60 mL/分/1.73m²未満

腎臓の主な働き

  • 老廃物の排泄
  • 体内の水分や電解質(塩分バランス)の調整
  • 血圧の調整
  • 赤血球産生に関わるホルモン分泌

腎臓は生命維持に不可欠な多くの機能を担っており、CKDではこれらの機能が徐々に低下していきます。

国内外における慢性腎臓病の現状と主な原因

慢性腎臓病は「新たな国民病」とも呼ばれるほど、非常に頻度の高い病態です。
2017年の調査では、世界に約6億9,750万人(人口の9.1%)のCKD患者がいると推定されています。日本でも、2015年の調査で20歳以上の約14%がCKDに該当すると報告されています。

特に高齢者で頻度が高く、主な原因として

  • 高血圧による腎硬化症
  • 糖尿病関連腎臓病
  • 慢性糸球体腎炎

などが挙げられます。

多くの患者さんは初期症状がないため、健康診断の尿検査や血液検査で偶然見つかることが多い病気です。

自覚症状が乏しい慢性腎臓病のサインと注意点

慢性腎臓病の初期段階ではほとんど症状がありませんそのため、健康診断における尿検査や血液検査でのクレアチニン値の確認が、発見の大きな手がかりとなります。

腎機能が著しく低下してくると、次のような症状が現れる場合があります。

  • むくみ(浮腫)
  • 倦怠感(だるさ)
  • 息切れ
  • 尿量減少
  • 食欲低下

ただし、これらの症状を自覚する頃には腎機能がかなり低下しているケースも少なくありません。何よりも早期発見が重要です。

重症度判定と将来のリスク

慢性腎臓病の重症度は、糸球体濾過量(GFR)尿蛋白(または尿アルブミン)の2つの指標を組み合わせて評価されます。

腎機能が低下するほど、また尿蛋白の量が多いほど、以下のリスクが高まることが判明しています。

  • 心血管疾患の発症
  • 腎不全(透析が必要になる状態)への移行
  • 死亡率の増加

特にGFRが45 mL/分/1.73m²未満(CKDステージG3b以降)になると、これらのリスクが顕著に上昇するため注意が必要です。

腎機能低下の進行を抑える生活習慣の改善

CKDの進行を遅らせるためには、医療機関での治療と並行して、自分自身で日々の生活習慣を見直すことが不可欠です。

食事療法のポイント

食事管理はCKD治療の土台となります。特に以下の3点に注意しましょう。

  • 塩分制限:血圧上昇を抑えるため、1日6g未満を目標にします。
  • たんぱく質の調整:腎機能のステージに合わせ、たんぱく質摂取量の調整が推奨されます。管理栄養士による栄養指導なども有効です。
  • エネルギー管理:体力を維持し、筋肉の分解を防ぐために適切なカロリー量を確保します。

特に過剰な塩分摂取は、血圧上昇や尿蛋白の増加を招き、腎臓への直接的なダメージとなるため厳格な管理が推奨されます。

適正体重の維持と日常的な運動

肥満は腎臓への負担を増大させるため、適切な体重管理が必要です。

  • 適正体重(BMI25未満)の維持を目指す
  • 無理のない範囲で日常的な身体活動を継続する
  • ウォーキングなどの有酸素運動を取り入れる

安静にしすぎるよりも、適度な運動を継続するほうが腎機能低下の進行を抑える可能性があることが示唆されています。

禁煙の重要性

喫煙は血管を収縮させ、腎臓の血流を悪化させる要因となります。禁煙は、腎機能の保護だけでなく心血管疾患の予防においても強く推奨される項目です。

合併症を防ぐための具体的な治療管理項目

血圧管理

血圧を目標範囲内に保つことは、CKDの治療において最も優先度が高い課題です。
降圧薬の中でも、ACE阻害薬ARBといった薬剤は、単に血圧を下げるだけでなく尿蛋白を減らし腎機能の悪化を抑える効果が期待できるため、積極的に処方されます。
(⇨ 高血圧症について

血糖コントロール

糖尿病はCKDの主要な原因の一つです。良好な血糖値を維持することで、腎臓の細かな血管が傷つくのを防ぎます。
一般的には、HbA1c 7.0%未満を目標にコントロールを行います。最近では、SGLT2阻害薬などの新しい薬剤が、糖尿病の有無に関わらず高い腎保護効果を示すとして注目されています。
(⇨ 糖尿病について

脂質管理

CKDでは動脈硬化が進みやすく、心血管疾患のリスクが高い状態にあります。
特に悪玉コレステロール(LDL-C)などの値を適切に保つため、生活習慣の改善とともに、必要に応じてスタチンなどの薬物療法を検討します。
(⇨ 脂質異常症について

高尿酸血症の管理

腎機能が低下すると尿酸の排泄がうまくいかず、高尿酸血症を合併しやすくなります。
尿酸値が高い状態が続くと腎機能に悪影響を及ぼすため、薬物治療によって腎機能低下の進行抑制や尿蛋白の減少を目指すことがあります。
(⇨ 高尿酸血症について

腎性貧血の早期治療

腎臓から分泌される造血ホルモンが減少すると、腎性貧血と呼ばれる特有の貧血症状が現れます。息切れや疲れやすさを改善し、心臓への負担を減らすために、以下の薬剤を組み合わせて治療します。

  • 鉄剤(鉄分不足を補う)
  • 赤血球造血刺激薬(ESA)
  • HIF-PH阻害薬(内服による新しい貧血治療薬)

予防接種

CKDの方は免疫機能が低下しやすく、感染症が重症化するリスクがあるため、ワクチン接種が推奨されています。
特にインフルエンザワクチン肺炎球菌ワクチンなどの接種が勧められます。

腎臓専門医への紹介・連携が必要な基準

以下のような場合、腎臓専門医と連携を取り、より専門的な精密検査や治療が必要となる場合があります。

  • 腎機能(eGFR)の低下が急速に進行している場合
  • 持続的に高度の蛋白尿が認められる場合
  • ネフローゼ症候群などの特殊な腎疾患が疑われる場合
  • 蛋白尿だけでなく潜血も陽性の場合

 

文献

日本腎臓学会. CKD診療ガイド 2024
日本腎臓学会. 患者さんとご家族のためのCKD療養ガイド 2024

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